自賠責保険に関する裁判例

【裁判例】 無断運転と自動車所有者の責任 最高裁判所 昭和39年2月11日
裁判所が認定した事実は以下のとおりです。 1 A組合は、本件事故当時自動車4台を所有し、係運転手に対しては終業時に自動車を車庫に格納した上自動車の鍵を当直員に返還させる建前をとり、終業時間外に上司に無断で自動車を使用 することを禁じていた 2 しかし、自動車及び鍵の管理は従来から必らずしも厳格ではなく、係運転手において就業時間外に上司に無断で自動車を運転した例も稀でなく、また、かかる無断使用を封ずるためA組合において管理上特段の措置を講じなかつた 3 A組合の運転手であるBは、本件事故前日の昭和35年8月13日正午過頃本件自動車を一旦車庫に納め自動車の鍵を当直員に返納したが、たまたま同日相撲大会に参加するため汽車で盛岡に赴くことになつていたところ、乗車時間に遅れそうになつたので本件自動車を利用して乗車駅の水沢駅まで行こうと考え、同日午後1時半頃組合事務室の机上にあつた本件自動車の鍵を当直員や上司に無断で持ち出した上、右自動車を運転して水沢に赴き自動車修理工場を営むB方に預け、翌14日夜盛岡からの帰途同工場に立寄り本件自動車を運転して帰る途中、原判示の事故を起した 上記の事実を前提として、裁判所は、次のように判示して、A組合が「運行供用者」に当たるとして責任を認めました。 「たとえ事故を生じた当該運行行為が具体的には第三者の無断運転による場合であつても、自動車の所有者と第三者との間に雇傭関係等密接な関係が存し、かつ日常の自動車の運転及び管理状況等からして、客観的外形的には前記自動車所有者等のためにする運行と認められるときは、右自動車の所有者は「自己のために自動車を運行の用に供する者」というべく自動車損害賠償保障法三条による損害賠償責任を免れないものと解すべきであるとし、前記認定の上告組合とAとの雇傭関係、日常の自動車の使用ないし管理状況等によれば、本件事故発生当時の本件自動車の運行は、Aの無断運転によるものにせよ、客観的外形的には上告組合のためにする運行と認めるのが相当である」 【掲載誌】 最高裁判所民事判例集18巻2号315頁        最高裁判所裁判集民事72号137頁        判例タイムズ160号69頁        判例時報363号22頁
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