遺言に関する裁判例

【裁判例】 不倫な関係にある女性に対する包括遺贈が公序良俗に反しないとされた事例  東京地方裁判所 昭和63年11月14日
【事案の概要】 1 大正15年に婚姻した夫婦ですが,夫が昭和26年ころから被告女性と肉体関係を持つようになり,昭和33年から死亡する昭和55年までの期間,妻と別居して,被告女性と同棲生活をしていました。 2 夫は,昭和52年妻に離婚調停の申立てを行い,昭和54年に離婚訴訟を起こしましたが,離婚訴訟を起こす前に,被告女性に全財産(主なものは妻が実際に居住していた不動産でした)を包括遺贈するという遺言を作成し,この遺言が公序良俗に反するものとして無効かどうかが争われました。 【コメント】 裁判所は,次のような事情を踏まえて,本件遺言が公序良俗に反して無効であると判断しました。 (1)遺言者は,妻である原告がいながら,被告女性と長年不貞関係を継続し,そのため原告との婚姻関係が破綻したこと (2)本件遺言はすべての遺産を不貞の相手である被告女性に遺贈するという内容のものであること (3)遺産の主要なものである不動産は,原告と遺言者の婚姻生活を維持するために購入されたものであること (4)原告は,本件不動産の賃料収入を生活費として生活しており,他には特に収入がないのに,遺言者は原告のそのような事情を知りながら本件遺言をしたこと (5)遺言者は,原告に対して離婚を求めていたが,両者間の婚姻関係破綻の事情からして離婚の際には遺言者から原告への財産分与及び原告に対する慰謝料の支払が当然予想されるところ,原告から財産分与及び慰謝料の支払を求められていることを知りながら本件遺言をしたこと 【掲載誌】 判例時報1318号78頁
【関連QA】 私の父は,私と母を残して愛人の女性の元に去りその愛人と暮らしていましたが,父は最近死亡しました。父は遺言を残しており,それによると,私と母に対しては遺留分に相当する遺産は与えるが,それ以外の遺産は愛人の女性に相続させるという内容でした。このような遺言が許されるのでしょうか? 【裁判例】  不倫な関係にある女性に対する包括遺贈が公序良俗に反しないとされた事例  最高裁判所 昭和61年11月20日 【法律相談QA】 法律相談の時間の目安はどのくらいですか? メールで相談することはできますか? 法律相談の料金はいくらですか? 費用が幾らくらいかかるのか不安です


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