相隣関係に関するQA

囲繞地通行権において,建築基準法が定める接道要件(道路に2メートル以上接すること)を満たすような幅員を求めることができますか?
1 民法210条は,「他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる」と定めており,これを囲繞地通行権,袋地通行権,210条通行権などと言います。 ただ,囲繞地通行権が認められた場合であっても,どの程度の幅員の通行権が認められるのかについてまでは民法の規定するところではなく,民法211条は「通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない」とのみ規定しています。 2 この点,建築基準法の接道要件との関係が問題となることがあります。 すなわち,建築基準法は原則として,建築物の敷地は道路(幅員4メートル以上のもの)に2メートル以上接しなければならないと規定しており,袋地所有者が建物の建築確認を取るために,囲繞地通行権によって認められる通路の幅員を2メートル以上とするように求めたりする訴訟がたびたび起こっています。 最高裁平成11年7月13日の判例(判例時報1687号75頁)は,「民法210条は、相隣接する土地の利用の調整を目的として、特定の土地がその利用に関する往来通行につき必要不可欠な公路に至る通路を欠き袋地に当たる場合に、囲繞地の所有者に対して袋地所有者が囲繞地を通行することを一定の範囲で受忍すべき義務を課し、これによって、袋地の効用を全うさせようとするものである。一方、建築基準法43条1項本文は、主として避難又は通行の安全を期して、接道要件を定め、建築物の敷地につき公法上の規制を課している。このように、右各規定は、その趣旨、目的等を異にしており、単に特定の土地が接道要件を満たさないとの一事をもって、同土地の所有者のために隣接する他の土地につき接道要件を満たすべき内容の囲繞地通行権が当然に認められると解することはできない」としています。 この判例以前にも解釈の微妙な判例がいくつからあり,学説も分かれいますが,接道要件を満たして建物の建築確認を取るためのみ目的とした囲繞地通行権の確保は難しいといえる一方,他の事情を総合することによってそのような幅員の囲繞地通行権の設定を求めることは不可能ではないと言えましょう。
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