破産に関する裁判例

【裁判例】 弁護士の債務整理開始通知と支払停止1 神戸地方裁判所伊丹支部 平成22年12月15日
破産法160条1項2号は、「破産者が支払の停止又は破産手続開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした破産債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。」と規定しています。 破産者代理人の弁護士が、金融業者との間で、本欄約48万円余の過払金請求権があったのに5万円で和解してしまい、その後破産した破産者の破産管財人が金融業者に対して、当該和解を否認したという事案です。 裁判所が認定した事実は以下のとおりです。 1 破産者は、平成22年7月23日、神戸地方裁判所伊丹支部で破産手続開始決定を受けた。  申立人は、同破産手続の破産管財人に選任された。相手方は、貸金業者である。 2 破産者は、平成14年8月30日、相手方から50万円の貸付を受けて以後、借入れ・返済を繰り返した。その結果、破産者が相手方に対して、平成20年7月1日時点で46万2986円の過払金(元本)返還請求権及び2万2836円の民法704条に基づく利息請求権の合計48万5822円の債権(以下、併せて「本件債権」という。)を有していた。 3 破産者から債務整理の委任を受けたA弁護士は、平成21年7月9日付け通知書(以下「本件通知書」という。)を相手方及び債権者らに送付した。 4 A弁護士は、平成21年10月21日、破産者の代理人として、相手方との間で、同年12月25日限り、本件債権について、相手方から5万円の返還を受け、その余の請求権を放棄する内容の和解契約(以下「本件和解」という。)を締結させた。 裁判所は、A弁護士の金融業者に対する通知書の送付について、支払停止にあたるとしました。なお、通知書には「破産者は、生活苦等から、現在、サラ金業者等五社に約二三〇万円の債務を抱えており、返済が困難であるから、やむなく弁護士に対し、長期分割払による任意整理を依頼した」旨の記載がされていました。  そして、約48万円余の過払金請求権について5万円で和解し残額を放棄する和解は債権者を害する行為に該当し、金融業者はそのことを知っていたとして、破産管財人の申立てを認めて、金融業者に対し、43万5822円余の支払を命じました。
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