※設例は、あくまでも公開された裁判例などをもとにした仮定のものであり、登場人物や事件の内容は、実際の事件とは一切関係ありません。
また、実際の相談が必ずこのように進むというわけでもありません。
相談を初めてしようと思っている方などに対して、あくまでも、弁護士がどんなことを尋ねるのかとなどについてイメージとしてお伝えしているものです。

※内容は、不定期・随時に更新しています。


坂本さん夫妻の老い支度 1

坂本龍夫さん(67歳)と坂本さなさん(66歳)の夫婦は、都内のマンションで2人暮らしをしています。今は二人ともそれなりに元気なのですが、これからの老後のことが心配な坂本さなさんが、面倒くさがりのご主人を無理やり半蔵弁護士の事務所に連れてきたようです。
龍夫さん

「いくら今後のことが心配だからっていって,何も弁護士さんに相談することはないんじゃないのか。弁護士って,裁判とか法廷とかそういうことだろう。俺はそんな面倒なことはいやだよ」

さなさん

「でも,この間家に来てくれた千葉さんが老後の心配ごとも弁護士さんに相談できるって言ってたのよ。だから,思い 切って千葉さんに紹介してもらった半蔵弁護士さんに話しを聞いてもらうことにしたのよ」

龍夫さん

「で,今日の相談料っていくらなんだ?」

さなさん

「1時間で1万円くらいですって」

龍夫さん

「一万円。へー。こないだ飲んだときより安いや」

さな

「え!?」

龍夫さん

「でもよー,弁護士さんに相談するのって財産がたくさんある人なんじゃないの。我が家は財産っていったって,猫の額ほどの土地と古い建物くらいだろう」

さなさん

「そうねえ」

龍夫さん

「預金って言ったって,俺名義の預貯金が四菱銀行と五井銀行にあるくらいだろ う。」

さなさん

「やあねえ,あなた。むずほ銀行にもあるのよ。」

龍夫さん

「えっ!?そうなの。」

さなさん

「まあまあ。あっ。弁護士さんが見えられたみたいよ。」

半蔵弁護士が相談室に入室します。半蔵弁護士は、事前に老後全般のことで相談をしたいということでさなさんから電話を受けていましたが、具体的なことは伺っていませんでした。
半蔵弁護士

「こんにちは,坂本さんご夫妻ですね。私は半蔵弁護士と申します。奥さんとは電話でお話しましたね。」

さなさん

「ええ、千葉さんの奥さんにお聞きしたのですけれど、色々と老後の悩み事なんかについても弁護士さんに相談してもらえるとお聞きしたものですから、今日は主人も一緒に来てもらったんです。」

龍夫さん

「どうも、さなの夫の龍夫です。今日は宜しくお願いします。」

半蔵弁護士

「さて、今日はどのようなご相談でしょうか?」

さなさん

「ええ,いま具体的に何がって言うわけじゃないんですけど・・・。」

半蔵弁護士

「いいんですよ。漠然とした不安があってということで相談に見えられる方も多いんですよ」

さなさん

「え,そうなんですか。私たち夫婦には子供がいなくて,今はこうして二人元気に自宅で生活しているんです。でも、二人とも年相応に物忘れとかはあって、それと,ここ2〜3年で私の腰とひざがよくなくて,いまは週3回くらいヘルパーさんを頼んでいるんです。」

龍夫さん

「それで,うちの家内が老後のこととか心配で相談したいって言ってるんです。家内は,自分が倒れちゃったら,あなたは何もできなくって困るでしょなんて言うんです。」

さなさん

「今は私が通帳とかキャッシュカードとか管理しているんですけど,主人はそういったものの置き場所も分かっていなくて,私が倒れちゃったら,とたんに立ち行かなくなっちゃうのじゃないかしらって,心配で心配で」

龍夫さん

「俺のことばかり言うけどさあ,お前だって,この間,通信販売でわけのわからない高いグッズを買おうとしてたじゃないか」

さなさん

「あれは・・・」

 どうやら、坂本さんご夫妻は、お体も判断能力もそれなりに元気なようですが、年相応の衰えも目立ってきているようです。
ホームロイヤー契約
半蔵弁護士

「ま,まあ,まあ。お二人ともまだまだお元気で何よりと思いますが,お二人が困ったときなどに気軽に相談に乗ってくれる弁護士がいたらいいとは思いませんか」

龍夫さん

「そりゃあ,そうだけど。」

半蔵弁護士

「自分たちが信頼できると思った決まった弁護士にいつでも相談できるという仕組みもあるんです。」

龍夫さん

「会社の顧問弁護士みたいなものかな?」

半蔵弁護士

「そうそう,そういうイメージです」

さなさん

「なんていう仕組みなんですか」

半蔵弁護士

「ホームロイヤー契約と言ったりしています。掛かりつけのお医者さんのようなものですね。さきほど,通信販売のお話が出ていましたが,本当に大金を払ってよいものなのか,或いは,払ってしまった後にやっぱりお金を返してほしいとか,いろいろ相談したいときにすぐに気軽に相談に乗ってくれるということですね」

さなさん

「それでそのホームロイヤー契約をするといくらくらいかかるんですか」

半蔵弁護士

「弁護士との契約にもよりますが,月1万円からくらいでしょうか。」

龍夫さん

「そうかー。もし俺が倒れちゃったら,お前,こまるだろう。こないだみたいに変な通販で何か買おうかどうか迷ったときすぐに弁護士さんに相談乗ってもらえるように,考えてみるか,おい。」


坂本さん夫婦の老い支度 その2 坂本さん夫婦の老い支度 その3 坂本さん夫婦の老い支度 その4