※設例は、あくまでも公開された裁判例などをもとにした仮定のものであり、登場人物や事件の内容は、実際の事件とは一切関係ありません。
また、実際の相談が必ずこのように進むというわけでもありません。
相談を初めてしようと思っている方などに対して、あくまでも、弁護士がどんなことを尋ねるのかとなどについてイメージとしてお伝えしているものです。
※内容は、不定期・随時に更新しています。
「それでは,審理を始めます。被告の北条一郎さんは来ていないようですね。」
「はい。」
「それでは,原告(里見さん)は訴状のとおり陳述しますね?」
「はい。」
「被告(北条一郎)は答弁書も提出していないので,判決とします。判決言渡しの期日は・・・・」
「今後は,どのようになるのでしょう?」
「北条に対して部屋の明渡を命じる判決が出ましたが,北条が任意に出ていく可能性は薄いので,執行官に対して,強制執行の申立てをしたいと思います。」
「スケジュールとしてはどんな感じですか?」
「はい,執行官に強制執行の申立てをして1~2週間位の間に,私と執行官,それに実際に執行を担当する撤去業者,鍵屋などと共に,北条の部屋に行きます」
「それは,強制的に入れるのですか?」
「はい,そのために普通は鍵屋を同行させます,鍵がかかっていて中に入れないときは,鍵屋に明けてもらって入ります。」
「それから,どうなるのですか?」
「部屋に北条がいれば,執行官は任意に部屋を明け渡すように説得し,1か月の期限の猶予を与えます。」
「その日のうちに追いだしては貰えないのですか?」
「はい,通常,1か月の明渡猶予期限を与えて,それでも明け渡さないときにいよいよ強制執行ということになるのが実務です。」
「それで,その鍵屋や業者に支払う費用というのは幾らくらいかかるのでしょうか?」
「業者によっても違うのですが,鍵屋の費用は同行の日当で2~3万円,実際に鍵を開けてもらうと1~2万円加算という感じです。また,撤去業者については,内部の残置物の分量にもよるのですが,私の良く使う業者だと,経験上は,今回の間取りで北条は一人暮らしということですので,30万円位かなあと思うのですが。それと,撤去した後,1か月ほど,持ちだした残置物を倉庫でほかして,北条が引き取りに来ない場合にようやく廃棄するという流れになるので,倉庫費用と廃棄費用も掛かってしまいます。」
「はあ,まったく酷い話ですよ。賃料は貰えないうえに,やつの不用品の後始末までこちらでするなんて。。。でも,仕方ありません,強制執行の方向で早く進めてください。」
「このたびは宜しくお願いします。さて,一度,本件債務者の北条一郎のもとに任意の催告に行くのですが,その日取りは・・・・」
「なるべく早く,来週あたりでお願いしたいのですが。」
「ええっと,来週だと・・・・水曜日の午前中はどうですか?」
「うーん,その日は一日出張なので,火曜日はどうでしょうか?」
「その日は別件の執行が入ってしまっていて・・・・それでは,木曜日の午後はどうですか?」
「ああ,それなら大丈夫です。大森さんは大丈夫ですか?」
「はい 大丈夫です。鍵屋も手配しておきます」
「はい。」
「北条一郎さんですね?」
「では,ちょっと中を確認させてもらいますよ」
「ええっとね,じゃあ,いまから,こちらの撤去業者の大森さんという方に中の物を確認してもらいますからね。」
「はい。」
「裁判が起こされて,この部屋を明け渡すようにという判決が出ているのは分かっていますね?」
「はい。」
「それで,強制執行が申し立てられて,今日,私たちが来たわけなんだけれども,今日今すぐに荷物を運び出して出て行ってもらうということまではしません。」
「はい。」
「ただ,いつまでも待つというわけにはゆかないから,今日から1か月以内にあなたがここを出て行ってくれればよいのだけれども,そうでない場合には,指定した日時に強制的に荷物を運び出して大挙して頂くということになります。」
「はい。」
「それじゃあ,大森さん,見積もった金額を後で連絡してください。」
「分かりました。」