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※設例は、あくまでも公開された裁判例などをもとにした仮定のものであり、登場人物や事件の内容は、実際の事件とは一切関係ありません。
また、実際の相談が必ずこのように進むというわけでもありません。
相談を初めてしようと思っている方などに対して、あくまでも、弁護士がどんなことを尋ねるのかとなどについてイメージとしてお伝えしているものです。

※内容は、不定期・随時に更新しています。


藤原道夫さんの成年後見相談 1

 東京近郊に居住する藤原道夫さん(58歳)は、最近都内に住んでいる母親の藤原ミチさん(82歳)のことが気がかかりです。
ミチさんは都内の一軒家に一人で住んでいるのですが、最近、道夫さんが電話するととっさに「あら、お父さん?」と言って道夫さんのことを昨年に他界した夫と間違えることがあるなど、少し認知症が進行している様子なのです。
 道夫さんは、高齢者のために成年後見という制度があることを知り、半蔵弁護士の下を尋ねました。
半蔵弁護士と道夫さんは挨拶のあと、しばらく雑談をしていました。道夫さんは都市銀行に勤務していましたが、5年くらい前からは銀行関連の会社に出向しているようです。 東京近郊にマンションを購入して、奥さんと大学生の息子さんと3人で暮らしているということです。
さて、いよいよ本題に入るようです。
半蔵弁護士

「それで、最近、どうも、お母様の様子がおかしいということでしたね?」

道夫さん

「ええ、2,3年くらい前から物忘れがひどくなったなあということは感じていたのですが、ここ最近は、私のことを亡くなった親父のことと間違えたりするようになったんです」

半蔵弁護士

「道夫さんと亡くなったお父様を間違えるというのは、かなり認知症が進んでいるのでしょうか?」

道夫さん

「いや、電話口で咄嗟に口をついて出た言葉なので、私が訂正すると、すぐに私のことだと思い直しているようなので、完全に人の区別がつかなくなっているというわけではないようですね。」

半蔵弁護士

「お父様は昨年お亡くなりになったのですね?」

道夫さん

「ええっと、ちょうど昨年の今頃でしたね。そのころから母親の物忘れもひどくなったのではないかと思います」

半蔵弁護士

「亡くなったお父様は何をしていらっしゃったのですか?」

道夫さん

「銀行に勤めていました。退職後は関連のリース会社の役員などもしていましたが、それも完全に引退して数年後に亡くなってしまいました。」

半蔵弁護士

「お母様の介護認定はどのくらいなのでしょうか?」

道夫さん

「要介護2だと聞いています」

半蔵弁護士

「現在、お母様は一人ぐらしなのですか?」

道夫さん

「そうなんです。私は長男ですし、私の妻も説得して母親に一緒に暮らさないかと言ったこともあったのですが、母親としては一人暮らしが気楽でいいみたいでしたね」

半蔵弁護士

「要介護3ということでしたが、お一人で生活するのに不都合はないのでしょうか?」

道夫さん

「そうですね、本当はもう少し介護を必要とする程度か大きいのかもしれませんが、介護認定の際などに頑張ってしまうようですね。それで、介護認定が低めに出ているということはあるかもしれません」

その後、半蔵弁護士は、ミツさんの判断能力の低下について、具体的に確認していきましたが、人を間違えたり、書類をなくす、日付が分からなくなることがあるなど、認知症と思われる症状を示すエピソードが多くありました。
次に半蔵弁護士は、道夫さんの兄弟姉妹のことを聞きました。
半蔵弁護士

「道夫さんのご兄弟、ご姉妹はどのような状況でしょうか?」

道夫さん

「はい、私たちの下に弟と妹が一人づついます。」

半蔵弁護士

「それぞれ何をなさっているのですか?」

道夫さん

「職業ですか?ええっと、弟の兼夫はメーカーに勤めているサラリーマンです。妹の光子は専業主婦です」

道夫さんによると、兼夫さんは52歳、光子さんは50歳ということです。
半蔵弁護士

「失礼ですが、弟さんと妹さんとの関係は良好ですか?」

道夫さん

「はい、それは問題ありません。今日私が相談に伺うことも2人には告げてきましたので」

半蔵弁護士はホッと胸をなでおろしました。今回のミチさんが成年後見制度を利用することになるかどうかは別として、親族関係に問題があると色々な点で処理が難しくなってしまうことが多いのです。
半蔵弁護士

「それで、今回ご相談にみえられたのは、お母様の介護をどうするかということについてでしょうか?」

道夫さん

「はい、それももちろんそうなんですが、今母親が持っている預金などの財産の管理について少し不安があるのです。このご時世、悪徳業者などに狙われるとも限りませんから。それで、成年後見制度という制度があるのを知り、お聞きしたいと思って伺ったのです」

半蔵弁護士

「なるほど。」

半蔵弁護士は成年後見制度のことをかいつまんで説明しました。成年後見制度というのは、判断能力が低下した高齢者などの方のための制度です。判断能力の低下の程度によって後見、保佐、補助のレベルがあります。後見の場合は当然に、保佐や補助の場合には代理権が付与されれば、後見人、保佐人、補助人が預貯金などの財産について管理するということになります。
半蔵弁護士の説明を一通り聞いた後、道夫さんが質問しました。
道夫さん

「その後見人や保佐人には誰がなるのでしょうか?」

半蔵弁護士

「はい、親族がなるケースもあれば、弁護士などの第三者がなるというケースもあります。親族間に対立があったり、資産が高額な場合には弁護士などの第三者が後見人になる場合が多いと思います。」

道夫さん

「私と弟や妹としては、第三者の方にお願いしたいと思っているんです」

半蔵弁護士

「ほう、それはなぜなのですか?」

道夫さん

「いくら母親とはいえ、財産を管理するというのは大変ですし、それに私たちとしては、誰が一人が管理したとして、後で私的に使ったのではないかとかお互いに疑心暗鬼になるのが嫌なのです。このことは弟と妹も同意見です」

成年後見の相談にみえられる方の中には「どうしても自分が後見人なりたい」という方もいますが、一方で第三者に後見人をお願いしたいという方も数多くいます。その多くの方は財産管理という事務が実際的にも心理的にも重荷であると感じているようです。
半蔵弁護士

「なるほど、それで、お母様の財産にはどんなものがあるかについては把握していますか?」

道夫さん

「いえ、具体的にはまだ把握しておりません。一人で住んでいる土地建物は、父親の相続の際にすべて母親名義にしました。父親の預貯金については、法定相続分通りに分けましたので、母親は2000万円くらいを取得したはずです。ただ、母親自身がいくら持っているのかについてはよく分からないですね。」

半蔵弁護士

「ところで、お母様は、かかりつけの病院はありますか?」

道夫さん

「はい、近くの医院に通っているようです。」

半蔵弁護士

「成年後見を申し立てるにしても、医師の診断が必要になるので、そのかかりつけのお医者さんに診断書をもらうことはできるでしょうか?」

道夫さん

「それは可能だと思います。私も診察に付き添ったことがありますので頼んでみましょう」


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