離婚原因に関するQA

【裁判例】 性格の不一致1 最高裁判所 昭和38年6月7日
【事案の概要】(判決文から) 1 戦前の昭和10年4月に結婚式を挙げた夫婦の事案です。 2 控訴審の判決には夫婦の婚姻生活の経緯が詳しく記載されていますが,大学教授であった夫の保守的で神経質な性格,妻の夫の母親(義母)との関係などに激しく反応し感情的になる性格が,描写的に描かれています。例えば,次のようなエピソードが挙げられています。    このような相談事というのは,現在でも,「人生案内」とか「嫁姑相談」とかで,見かけるものではないでしょうか。  ・長女の出生前,夫の母(義母)から応援に行く趣旨の電報が来たところ、妻は興奮し「出産がすんだ後に来て欲しい。」といつて泣き出し、夫は妻が義母の来ることに強く反対したものであつて義母が来ても円満な起居を望めないものと思いこみ、義母に対し来ないよう電報を打つたが,結局,義母は夫方に来た。    ・義母が妻に対し朝の挨拶をしたが、妻がこれに答えず、夫はこれを心配して妻をとがめたところ妻は自分が義母に挨拶しても義母が答えないことがあつたので挨拶しない旨答えたので夫は重ねてそれをとがめた。  ・二男が生れた日の夕刻義母がお産の際の家事手伝などのために夫方に来たが、妻はその後病院に通つていたところ、義母は近隣の老婆より「お嫁さんが病気でお困りですね。」といわれたのに対し「一番大切なときに妻に倒れられて困つている。」旨答えたのを妻が聞き、その数日後妻は夫や義母に対し「お産のとき義母に来て貰いたくなかつた。近隣の人も、自分に対し『姑が来てつらいことでしよう」と  いつている。」といつて興奮して泣き、義母は「お互に言葉に気をつけねばならない。」といつた。 【コメント】  上記のような事情のもとで、夫から妻に対する離婚請求に対し、一審は離婚を認めませんでしたが、二審は離婚を認容しました。  これに対し、妻が上告したところ、最高裁は「双方がさらに反省と努力を重ねるならば、双方の子供達を中心とする周囲の者の協力、援助のいかんによつては、必ずしも将来円満な婚姻関係を回復することが期待できないものでもないことが推認できる。従つて、当事者双方の婚姻関係を継続し難い重大な事由があると判断した原判決は、民法七七〇条一項五号の解釈、適用を誤つたものというべく、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。」として、二審判決を破棄して差し戻しとしました。  古い判決であり、現在では、このような事情の下では、離婚が認められることが多いのではないかと思いますし、性格の不一致といったのようなどちらか一方に婚姻破綻について責任があったと断じ難いケースでは、婚姻破綻についてどちらに責任があったかということも厳格に問われないのではないかと思います。  ただ、本件は、義母との不和ということも婚姻破綻に至る中核的な要素になっており、現在においてもその婚姻破綻に至る過程には共通する事情があるのではないかと思います。 【掲載誌】  家庭裁判月報15巻8号55頁        判例タイムズ155号102頁        判例時報338号3頁
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