離婚原因に関するQA

【裁判例】 親族との不和1 東京高等裁判所 平成1年5月11日
【本件の概要】(判決文より) 1 昭和43年に婚姻した夫婦の事案です。妻と夫の母親(義母)との関係悪化,要は嫁姑問題に関する離婚についての判断事例です。 2 夫婦は,北陸地方で仲睦まじく新婚生活を始めたと認定されています。夫婦自体の仲は悪くなかったようです。 3 しかし,次第に妻と夫の母親(義母)との関係が悪化してゆきます。具体的には次のようなエピソードが指摘されています。  ・義母は,知人に対し,妻に聞えるような声で,「嫁なんてものは, 2,3年籍なんか入れないものだ,子供なんか2,3年生まないで家のため働くものだ。」と言ったりした。  ・夫婦間に長男が生れたが,義母は,夫の子ではないと仄めかすようなことを言い,また絶対性包茎で手術すれば治るにも拘らず「片輪を生んだ」と言つたりした。  ・夫婦の新居の購入資金を義母の資金でまかったため,その土地,建物の所有名義を義母にしたことをまもなく知った妻は,そのことで夫に文句を言うようになり,夫がいずれ自分たちのものになるのだからと  言つて諌めても聞かず,さらには夫に対し,夫や義母を些細なことで泥棒呼ばわりをしたり,また妻が,義母が風呂に入つた後は汚れているから人りたくないと言つたりしてもめ,家庭内に波風が絶えなく  なつた。しかし夫も,妻とAとの間で問題が起きたとき,つきつめて解決しようとせず,その場逃れの対応をするにとどまつた。  ・妻と義母が,余りに酷い口論をするため,夫ももてあまし,妻の父に来てもらつて話合つているうちに,妻が激昂し,死にやがれなどと言つてAの髪の毛を掴み引つ張つたりしたということもあつた。 【コメント】  上記のような事情の下で、一審は夫から妻に対する離婚請求を認めましたが、控訴を受けた二審東京高裁は、離婚を認めませんでした。  この夫婦の関係を悪くしているのは、夫の母親であって、夫婦自体には問題が少なくやり直すことができると言っています。  また、裁判所は、次のようにも述べて、夫は母親の妻に対する言動に加担した有責配偶者であるとまで断じています。  「そうすると,夫は,Aの妻に対する嫁いびり延いては追出しの策動に加担し,これを遂行したものとの非難を免れえず,婚姻破綻につき専ら(ここでは主としての意)責任を有する者として,本訴は有責配偶者の離婚請求と断ぜざるをえない。そして,前記の如き婚姻期間約10年に比すれば別居期間約10年(しかも,その大半約7年間は本訴係属中の期間である)が不相当に長期間にわたつているとは即断できず,双方の年齢もいずれも同年の47歳であり,未成年子2人のうち,明らかな未成熟子の高校生が1人居り,夫の現在までの前記婚姻費用の支払状況から察すると,今後の妻に対する財産的給付の可能性は極めて薄いといわざるをえない。その他,本件にあらわれた一切の事情を勘案すると,今,離婚の実現をみたときは,妻を現在より一層苛酷な状態に追いやるであろうことは十分に予見しうるところである。  そうである以上,夫の本訴請求は,民法第1条の法意からしても,許されるべきではない。」 【掲載誌】  家庭裁判月報42巻6号25頁        判例タイムズ739号197頁
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