※設例は、あくまでも公開された裁判例などをもとにした仮定のものであり、登場人物や事件の内容は、実際の事件とは一切関係ありません。
また、実際の相談が必ずこのように進むというわけでもありません。
相談を初めてしようと思っている方などに対して、あくまでも、弁護士がどんなことを尋ねるのかとなどについてイメージとしてお伝えしているものです。
※内容は、不定期・随時に更新しています。
「それでは,上杉商店と上杉社長個人の債権者集会を始めたいと思います。それでは,まず,上杉商店について,破産手続申立から本日までの管財業務について,破産管財人である武田弁護士から説明して頂きたいと思います。」
「はい。破産管財人に選任された弁護士の武田ですが,上杉商店の管財業務についてご報告したいと思います。お配りした財産目録と収支計算書をご覧ください。」
「上杉商店の財産ですが,申立書に記載されていた売掛金についてはすべて回収致しました。回収金額については財産目録「売掛金」欄に記載のとおりです。」
「また,上杉商店には本店事務所内に在庫として部品などが残っていました。これについては売り先を探したのですが,既に型式が落ちているなどの問題があって当方が希望した金額には達しませんでした。」
「そこで,在庫にいては,本店事務所の撤去を依頼した業者に買い取ってもらうこととし,その代わりに撤去費用から在庫代金を差し引くという形として処理をしました。」
「そして,現在までの収支ですが,申立時からの引継金と回収した売掛金から撤去費用等を差し引きました。なお,家主に差し入れていた保証金の内財産目録記載のとおりの金額が返還されています。しかし,上杉商店には滞納していた税金があり,こちらに優先して支払わなければならないことから,残念ながら,一般債権者の皆様に対する配当はできないという状況です。」
「有り難うございます。それでは,債権者の皆さんから何か質問はありませんか?」
「配当がないということですが,貸倒ということで税務署に提出する書類を頂きたいのですが?」
「はい,その点については廃止証明書という証明書を破産管財人から送付を受けて税務署に提出して頂くようお願いいたします。」
「それでは,続いて,上杉社長個人の債権者集会に移りたいと思います。債権者の中で,上杉商店のみに債権をお持ちの方は御退席をお願いします。」
「それでは,ご報告をお願いします。」
「はい。」
「ということで,上杉社長個人の分については,税金滞納もなかったため,若干ですが,配当が出来そうです。」
「分かりました。それでは,上杉社長個人の破産手続については,簡易配当することとし手続自体は本日で終了することとしたいと思います。」
「はい。」
「次に,免責に関する破産管財人の意見を述べてください。」
「はい,免責については不許可事由なしと考えます。」
「分かりました。」